産繊新聞社

上海市内帆布メーカー、建材企業、ワンタッチテント

14日、15日(上海市内帆布メーカー、建材企業、ワンタッチテント

上海は緯度的にいえば鹿児島県と同じであるが、その割には晴れていても底冷えがする。14日は上海市内のホテルを午前9時に出発、揚子江河口中洲にある江蘇省啓東市へ移動、帆布製造企業・启東市豊大防水布有限公司に向かう。移動中バスから見ると、高級の高層マンションがあったと思えば、その傍に潰れかけの平屋住宅が並んでいたりとコロコロ変わる景色が面白い。途中大きな川にかかる橋を渡っていると、風力発電の風車が並んでいる場所があり、中国国内でも化石燃料からの脱皮を図り、自然エネルギーの開発を進める姿を確認した。
 約1時間半かけて豊大防水布社に到着、同社は前日(13日)に訪問した3社のターポリン製造企業に比べると規模は小さいが、浙江省明仕達新材料有限公司、上海藍泉塑料製品有限公司同様、原反の製造(織り)から樹脂加工の一貫生産を行なう企業であった。製織工程と防水加工工程を見学させていただいたが、基布はそれほど広幅でなく、設備も含浸加工の古いもの。製造している商品もトラック用シートや汎用ターポリンで、特にこれといった特長はないようだ。一応、表面の柔らかさや光沢の度合いを顧客の要望に沿って作っていると案内していただいた方より説明を受けるが、機能材を作れるだけの能力はないようだ。
 この日の企業視察はこれで終わり。再び上海に移動し午後は上海直轄市の浦東新区をゆっくりと見て回る。ここは上海万博に行った人なら必ず来たところ。私は上海万博を見学していないので当時を知らないが、そのころとの違いは高さ632mの高層ビル「上海タワー」がほぼ全体形を現しているところか。森ビルが手がけた「上海環球金融中心」(492m)、チャイナ・ジンマオグループの「金茂大厦(ジンマオタワー)」(420m)の3つが並ぶ風景はなかなかのものである。ここは中国の表の顔といったところで、同地区だけみると完全な自由主義国家。スターバックスなどもあり価格はむしろ日本より高いぐらいだ。ただ、街中の至るところで高級高層マンション群を見る一方、豫園に向かうバスの車中から見る景色はまた違うものがあり、その2面性に改めて驚く。国のシステムは相変わらず共産主義国家で、日本以上に格差社会という概念がぴったりの街である。夕食は飲茶を堪能し、その後上海雑技団を楽しんだ。
 最終日は上海市金山区の2企業の視察を実施、はじめにアルミ製建材製品を製造する上海浙東鋁業有限公司に向かう。日本のパナソニックとも住宅分野で取引があるとのことで、社屋は立派な7階建てで、工場の敷地もとにかく広い。アルミのインゴットを溶融し製品に加工する工程を見させていただいたが、とにかく大量生産のビジネスモデルで、小ロット対応は難しそうな雰囲気。世界各国から受注を受けているようで、ひとつひとつの製品を見せていただいたわけではないが、工程管理はしっかりしているようだ。
 最後に訪問したのがワンタッチテント・ミスタークイック(埼玉通商)の中国工場・上海美形姿帳篷制造有限公司で、御出迎えいただいたのが同社の野村昌照会長である。今から10数年前に1度だけお会いしただけなのに、私の顔を覚えていただけていた。
 中国に500坪の土地を手配し工場を出されたのが13年前。当時、中国に進出した企業としては最小規模でなかなか認可が下りず地区の人民政府の説得に奔走され、その後四川の大地震の際、いち早くテントの提供を申し出たことで地域から感謝され、やっと上海で認知されたという。当日伺ったときに開発中の5・4m×5・4mの大型のワンタッチテントが設置されていた。普通これだけのスペースを覆うテントの設営は人手と時間が必要だが、これなら省力化が図れる。いずれ日本で目にする機会があるかもしれない。
 視察で一番印象に残ったのが同工場内が整理整頓が行き届き清潔に管理されていること。野村会長は設立から従業員の教育に力を入れられたそうで、日本イズムのモノづくりを指導されたているからこそ、安心で耐久性のある製品を供給できているのだと改めて感じた。
 昼食後は空港へ向かい、午後5時30分の飛行機で帰路についたが、この四泊五日の中国企業視察ではとにかく多くのことを学ばせていただいた。今回訪問した9社の企業は国内市場よりも日本、中東、中南米、欧州、米国、オセアニアなど国外への輸出が中心で「世界の工場」といわれる中国の意味がよくわかった。その一方、気になるのは最終日の上海美形姿帳篷制造有限公司を除いては独自のブランド力や技術がない点だ。特にターポリン製造企業の商品は、ほとんどが大量生産品で見本帳を見る限り日本のどこかで見かけたもの。高付加価値製品と呼べるものはなく、事業の進め方はいまだにシェアの拡大に重点が置かれているようである。海外企業と付き合っていくにはリスクは付き物だが、こと中国に関しては人件費の高騰、知的財産権のこと、商慣習・文化の違い、政治的対立など多すぎるようにも思う。
 最後になるが今回ツアーに同行させていただいた日帆協の皆様、また現地で通訳など担当いただいたスタッフの皆様に感謝を申し上げ、このツアー同行記を終えたいと思う。
風力発電 豊大防水布
高速道路から(風力発電)       豊大防水布コーティング工程
上海市内 上海市内

powered by Quick Homepage Maker 5.1
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional