産繊新聞社

6月30日(釜山の街並み視察)

6月30日(釜山の街並み視察)

大阪関空を11時30分出発、午後1時には釜山着。移動時間だけなら、北海道に行くよりも近い。着後は市内視察。といっても単に街並みを見学するだけのことであるが、それでも変わっていく韓国の街並み、日本では真似の出来ない道路の利用法など興味深かく感じたことがたくさんあった。
まず1つ目は「サインの形態」。韓国のサインといえばバックリットと誰もがすぐに思い浮かぶ。1988年にソウルで開かれたオリンピック以降、当時アメリカ・ニューヨークで流行っていたサインの形態をそのまま真似で根付いたといわれているが、今から10年前というと韓国はカッティングであるか、インクジェットであるかという違いはあるものの、裏に蛍光灯を入れるFFの平看板がほとんどであったことを記憶している。ところがその韓国特有のバックリット文化がピット文字やチャンネル文字のような立体文字に移行しているのである。
昨年行ったソウルでも感じていたのだが、この釜山も同じであった。「何故なのか」。実は日本に帰ってから、昔韓国で看板関係の仕事をされていた方に話を聞く機会があり、詳細を教えてもらった。その方いわく、韓国では2007年11月に制定された景観法(大統領令)が、クロスのバックリット看板需要停滞のきっかけになったのだという。この法令自体、直接看板を規制するものではなかったが、景観計画を公聴会など市民の意見を参考にしながら立てていく中で、当時の原色を多く使った看板形態に批判が集まり、見直し機運が高まったそうだ。それに輪をかけたのが2011年に起こったエネルギー危機。ウォン安も重なって韓国では原油価格が高騰、今年4月にはガソリンは1リットル21、000ウォン(150円前後)まで跳ね上がった。今は少し落ち着き、18、500ウォン(130円前後)となっていたが、省エネ意識は日本同様高く、とくに景観照明は点灯時間が午後11時までと規制された。看板の点灯時間こそ規制されなかったが、バックリットのような裏に蛍光灯をいれる電力消費が多い看板は新規導入が敬遠されだした。
こうした伏線もあって看板の照明がよりエネルギー消費量の少ないLEDに切り替わっていくのであるが、政府も資金面でこの流れを後押しした。特に零細商店が密集する地域に予算を投入し、従来型のバックに蛍光灯が入った平看板からLED照明の看板に入れ替えを進めたのだという。実際、釜山でも表通りの店の5割ぐらいの看板はピットやチャンネルなど立体文字看板に付け替えられていたように思えた(路地裏は別)。そのスピードの速さに驚かされるが、こうした芸当は利権が絡み合う日本ではなかなかできないことだろう。
もうひとつは「道路利用の自由度」。龍頭山公園近く、国際市場からBIFF広場に向かう細い路地には冷麺やトッポギなど食を提供する路面店が数多く並ぶ。また、トラックを止めてその荷台いっぱいに靴下を積んで販売するおばちゃんも。こうした商業の自由度が韓国らしくて面白いのだが、日本では道路占有面から警察、飲食では衛生面から保健所が必ず介入するのでまず見ることができない光景である。日本では道路は車両や人が通行する空間との考え方が一般的であるが、韓国では商業の場としても使われているところが面白い。
最近日本の道路を見ていて、人と人との距離を感じてしまう。皆が無関心に通行するだけ。コミュニケーションが一切ないから、街に賑わいは生まれない。当日は小雨が降る天候で、大きなビニールを道いっぱいに広げて天幕に利用する露店をすり抜けながら、本来の道の役割を忠実に利用しているのは、実は韓国なのではないかと感じた。
看板 立体文字に移行した看板
道路活用 道路で飲食を提供

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